養護学校職員辞職から改めて見る、介護業界の深刻な闇

養護学校職員辞職から改めて見る、介護業界の深刻な闇

氷山の一角

一部でしかない

介護施設におけるこうしたトラブル、ニュースとして報道されてもさほど衝撃的だったと感じる人は意外と少ないかもしれません。最早周知の事実となりはててしまっているのか、個人的にはこうした問題がいつか起きても不思議ではなかったんだろうと、そんな風に感じてしまう。たださすがに非常勤の職員が全て退職をする事態が起こるとは予想を超えた展開が待っていたので、そういう意味では驚きはした。けれどこうした人手不足問題に揺れるのは、何も介護業界だけに留まる話ではないのは誰もが知るところでしょう。一番近時となる問題として社会的話題を巻き起こしたのは、やはり外食チェーン店として勢いを伸ばしていたゼンショーホールディングスが展開している、すき家の深夜アルバイトに酷使されていたワンオペ問題、これほど酷いものはない。養護学校や介護施設も在学している生徒や入居者の命にかかわるような業務をすることはあり、すき家問題についても労働者の体力・精神面を蝕むため性質的にはほぼ変わらないと見ていいだろう。もちろん業務の難しさや形態が異なっている時点で比べる是非もないかもしれないが、人手という物理的な問題に揺れているのに変わりはない。

今回は主に介護施設を取り上げてお送りしているのでこちらに焦点を当てるが、調べてみると人手不足に悩まされている施設については、報道されていないものも含めれば全国的に慢性化しているといっても過言ではない。氷山の一角とは良い言葉だ、あくまでメディアに取り上げられた案件はごく一部に過ぎず、中にはこれ以上に不遇な状態で追い込まれている人もいるかもしれないのだ。そう考えると、決して笑える問題では無いでしょう。また不足しているのは何も従業員という面だけでなく、高齢化社会になることで生じてきている問題は施設そのものにも影響を及ぼしています。

介護の現場は人手不足?!

人手不足と介護施設

先に紹介した東京都の老人ホームでもそうだが、入居者を募集したいけれど人材に余裕が無いために新規の入居者受付を始められないというところも珍しい事例ではない。養護学校の方でも、1人頭担当しなければならない業務量が、通常の3倍以上と考えて問題ない。老人ホームなどの介護施設も同様だ、病院などの医療機関に訪れて病棟の方に足を運んだときも、看護師の人たちが常に慌ただしく廊下を歩きまわっている光景が目に焼き付いてはなれない。余裕が無いのもあるかもしれないが、仕事に追われている感がとてつもなく強かった。

人手が増えなければ仕事量も軽減するどころか増えるばかり、そんな状況では介護士として勤務している人、看護師として常日頃からケアを行わなければならない労働者の定期的なシフト交換、課題は山積みだ。こうした問題が影響を及ぼして施設運営に支障をきたしているのは言うまでもないでしょう。長年悪い意味で維持し続けている介護の現場で起きている事態、業界に携わっていない人にとってはそうした問題は蚊帳の外だが、入ってみて分かる地獄というのもあるのかもしれない。

人手不足だからこそ生じる問題

施設が運営できなくなる事例は、何も人手不足問題だけではない。しかし人手というものが大きく関わっており、その問題により介護業界における問題としてあげられるのが入居者への虐待が現場で常態化していることだ。2013年の厚労省による調査で判明したのが、施設で行われている虐待も含めてこのような虐待が行われているという。

  • 家族からの身体的虐待:65.3%
  • 家族からの心理的虐待:41.3%
  • 介護職員からの身体的虐待:64.2%
  • 介護職員からの精神的虐待:32.8%

少なくとも身内から、介護職員からの虐待は全体の9割超の人々が受けていることが判明した。介護施設で発生した虐待件数については221件と意外と少ないようにみえるかもしれないが、虐待件数そのものは約16,000件という数字が確認されており、軽視していい問題ではないでしょう。この中で虐待を受けていないと言われているのはその中でも1割にも満たないというのだから、現実問題として中々難しいところだ。

介護している人間の苦労

どうしても虐待というと、行使している人間が悪いと見てしまう人もいる。ただ虐待をする原因となったのには少なからず因果関係もあるのです。その多くが恐らく介護している人間による極端な我儘が発生する、という点だろう。体調が悪く、それに対して奉仕することを少なからず行っているにも関わらず、要介護者が文句を言ったり、体調が悪いにも関わらず言うことを聞いてくれないなどといった、そういう点も関与していると言えるでしょう。

介護をする人間も精神が強固なわけではない、虐待を引き起こしてしまう人はそうした積み重ねによるストレスが原因と見て取れる。中には奇特過ぎる例もあるため、一概に言えたわけではない。

介護施設運用のために必要なこととは・・・

問題が問題を積み重ねている

人材不足という問題により、虐待や施設運営そのものにも支障をきたすという悪循環がすでに10年近く継続しているといっても良い。言ってしまえば、よくここまで業界が均衡を保てたものだという点かもしれない。危なげな橋をわたり続けている介護の現場は、施設が不足して需要が高まり続けていながらも、問題という問題がいつまでも解決されないでいるため余計に悪化しているようだ。